麻の着物ってどんな着物？

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日本では、昔から麻を使用した着物があります。麻は、通気性の良さや吸水性から夏場の衣類をメインに使用されている素材であるため、夏の着物に使用されている事もあるのです。また真夏の時期に着用する着物は、「薄物（うすもの）」と呼ばれる着物であり、通常の着物に比べて薄くて透け感があるのが特徴で、麻を使って作り上げることができます。麻の着物は、6月～9月頃まで着用することができ、10月頃に仕舞うのが一般的です。

また麻は、着物だけでなく帯や帯締めなどの小物から襦袢や肌着といったインナーにも使用することができます。そんな夏のメインとも言える麻の着物は、いつ頃どんな出来ごとをきっかけに広まったのでしょうか。また麻の着物の種類の特徴についても併せて解説します。

麻の着物が広まったきっかけとは？

麻の着物は、昔から日本人の生活に密接な関係があるため、身分問わず着用されていました。そんな身近であった麻の着物も、江戸時代に麻の葉模様の着物が流行ったことをきっかけに人気が集まったとされています。麻の葉模様は、六芒星のような形がズラッと並べられたようなデザインをしています。

この模様は日本の伝統文様で、「子供の健やかな成長を願う」という意味を持っています。麻の特性であり成長の早さと真っ直ぐと伸びていく様、そして耐久性からこれらの意味が込められた模様であるとも言われています。また麻の葉模様は、赤ちゃんの産着にも施されることの多いデザインです。麻の葉模様の着物が注目された理由は、日本のお家芸である歌舞伎の人気役者が麻の葉模様の着物を身につけたことが事の発端と言われています。麻の葉模様は、今でも着物や浴衣に取り入れられている人気の高い模様です。

麻の着物には2つの種類がある

麻を使った着物には、2つの種類があります。それぞれの特徴について解説していきましょう。

縮（ちぢみ）

麻を使用した着物一つ目「縮（ちぢみ）」は、敢えて糸に強い撚り（より）をかけて織ったデザインが印象的な着物です。生地の表面にシボを出す技法のことであり、麻縮（あさちぢみ）とも言われています。この技法を使った縮は、絹や綿などにも使用することができます。生地にシボを出すことで、肌に張り付かず過ごすことが可能という特徴を持っています。まとわりつかないよう加工されていることから、夏場でも心地よく着られるのもポイントです。また最近では、着物だけでなく浴衣にも多く取り入れられています。また麻縮の中には、小千谷縮（おぢやちぢみ）という国の重要無形文化財に指定された織り方の縮もあります。

上布（じょうふ）

薄手の平織り麻織物に対して用いられる上布（じょうふ）は、上質な麻布を表しています。縮とは打って変わって軽く張りがあり、さらっとした肌触りが特徴の着物です。上布は、麻を細かく裂いてから紡ぎ、撚り合わせる手績みの糸で織っていく伝統的な技法を用いて作られています。上布は、希少性が高い高級品として扱われており、幕府に献上していた着物でもあります。縮に比べて市場にはあまり出回ることも少ない着物でもあります。沖縄の宮古島で作られた宮古上布（みやこじょうふ）や新潟の南魚沼市で作られた越後上布（えちごじょうふ）もまた、重要無形文化財に指定されています。その他にも各地に有名な上布があります。

麻の着物を夏の衣類に加えてみよう！

麻の着物は、昔から夏を代表する着物として知られています。また素材だけでなく模様が流行るなど、さまざまな形で取り入れることができます。麻の着物の種類についてもそれぞれ特徴をご紹介しましたので、夏の着物に麻を取り入れてみてはいかがでしょうか。